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特集  創立80周年を迎えて 永井 博弌

岐阜薬大80周年を祝して―薬学への期待―

岐阜保健短期大学学長 岐阜薬科大学前学長

永 井 博 弌 (大14)

岐阜薬科大学創立80周年おめでとうございます。
  80年の歴史は大変重く、 輝かしく受け止めております。
  今回、 『九重』 の特別企画として、 今後の大学の発展を期して産官学の学の立場から一文を仰せつかりました。
  卒業以来、 長く 「学」 の立場に身を置くものとして、 「岐阜薬科大学」 に向けて何か提言をと仰せつかりましたが、 今回は、 今後の 「薬学」 全体に対する期待を述べることといたしました。
  日本の薬学全体を考えるにはまだまだ修養が足りませんが、 これまでの日本学術会議 (第20―21期連携会員) と文部科学省 「薬学系人材養成に関する検討会」 での経験をもとに薬学教育について考えをまとめてみました。
  まず、 日本学術会議は一般にはあまり馴染みのない組織ですが、 日本の学術の方向性を議論し、 学術分野のリーダーとして、 政府に具申する研究教育者の重要な機関です。
  学術会議の中には薬学委員会があり、 薬学をさらに3分野に分けています。
  すなわち、 「化学?物理系薬学」、 「生物系薬学」 と 「医療系薬学」 です。
  私達が薬学を学んだ50年前とは大きな違いがあります。
  当時は 「化学?物理系薬学」 が主体であり、 生物系とか医療系についてはほとんど学ぶ機会はありませんでした。
  しかし、 今はライフサイエンスの一分野としての生物系薬学と臨床薬学を主眼とする医療系薬学が化学?物理系薬学に加わり大きな比重を占めています。
  特に、 医療薬学は薬学6年制への移行と同時に出発した分野と言えます。
  この変化に対応すべく文部科学省も 「薬学系人材養成に関する検討会」 を立ち上げた感があります。
  この二つの委員会を通じて薬学教育の問題点として感じたことを3点に絞り述べます。
  第1は薬学教育のゴールについてです。
  また、 第2は資格取得と教育の枠組み作りについて、 さらに第3はコアカリキュラムと指定規則の導入についての問題です。
  第1の薬学教育のゴールについては薬学をどのように考えるかに罹っています。
  確かに薬学は幅広く、 多方面の分野が在り、 定義しがたい学問です。
  しかし、 グローバル化した今、 世界の国々の考えを参考にすべきではないかと思います。
  世界的には薬学は医療薬学の色彩が濃いと言えます。
  医学教育では 「ヒポクラテス」 が目標であり、 「ヒポクラテスの誓い」 に沿った倫理観がバックボーとして培養されています。
  看護学も 「ナイチンゲール」 が目標であり、 「ナイチンゲール憲章」 がバックボーンとなっています。
  これに対して薬学は、 神格化できる先人もなかなか無く、 統一したバックボーンとなる精神性もありません。
  特に、 日本では未だに、 薬学の中での各専門分野によるそれぞれの考えに偏り、 薬学の定義が定点のない不安定なものとなっています。
  私的な観点ですが、 薬学はあくまでも 「化学物質」 の 「生体」 への影響をベースとした基礎および臨床学問であり、 薬学者は 「化学物質」 と 「生体」 の関係を知るプロと考えれば、 もう少し焦点を絞ることができると思われます。
  第1の問題点について、 私は薬学のファイナルゴールは 「化学物質」 の 「生体」 への影響を知る専門家を養成し、 「化学物質」 のみ、 あるいは 「生体」 のみの、 一方だけの専門家を目指すことは他分野に任せて教育をすべきであると思っています。
  第2は資格取得と教育の枠組みについてです。
  これは現在の4年制学科の在り方とも関連します。
  さらに、 6年制学科の大学院での 「専門薬剤師」 などの資格取得との関連も挙げられます。
  4年制学科の資格取得については12年間と期限が限定された制度であり、 この間は少なくとも学生に不利になる様な運用は避けるべきでしょうが、 12年を機に、 この分野は新しい学問分野へと発展する方が良いと考えています。
  また、 「専門薬剤師」 などの専門性が特化できる大学院は推進すべきと思いますが、 これには厳格な第三者評価機関が常にその公平性をチェックするシステムを併設することが望まれます。
  医学分野で見られる学会主導での専門性の担保は若干問題があるように思われます。
  是非とも国のレベルで資格取得教育に関する第三者評価機関の設立が望まれます。
  また、 第3の問題はコアカリキュラムとそれを教育できる教員の資格に関して法的規制を 「看護学科」 をはじめとする他の医療職教育と同様に考えてはいかがかというものです。
  すなわち 「指定規則」 の導入です。
  この点は現在、 薬学の中に身を置く者からは言い出しにくいことであり、 コアカリキュラムがしっかりしていれば問題が無いという議論もありますが、 将来医療人としてチーム医療の中で活躍する人材の養成には他分野の医療人と比較して、 一考する必要があるように思われます。
  このように、 新しい薬学が出発してすでに7年がたちましたが、 まだまだ問題が山積しているように思われます。
  是非とも、 正しい認識を持った、 心ある薬学教育者が新しい薬学と岐阜薬科大学の発展に向け前進されることを念願しております。