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事故は未然に防ぐ注意を常に心掛けなければなりませんが、万が一事故が発生した場合の応急処置法を知って実践することも大切です。

火傷 直ちに局部を水で充分洗い、外科医の手当をうける。チンク油の塗布は、皮膚にケロイドを生じやすいので使用しないで下さい。
切傷 傷口にガラス片その他の異物がないことを確かめ、異物があれば0.1%アクリノール液又はオキシドールにて洗いさり(出血多量のときは、5%塩化第二鉄溶液で止血してから)、サルファー剤、抗生物質の軟膏を塗布して包帯をしておきます。
(注)いずれの場合も、傷が大きいときは、手早く外科医の治療をうけることが必要です。

危険薬品による中毒に対する対処法

鉱酸、アルカリ類 顔、その他にかぶったときは、直ちに多量の水で水洗いします。事故が大きいときは、薬品が付着した衣服をはぎとった後に、水洗いします。
塩素ガス エーテルとアルコール等の分液の蒸気を嗅がすと、粘膜の刺激をやわらげることができます。飴をなめるのもよい方法です。中毒した場合には、肺水腫の危険があるため安静が大切です。
臭素 塩素ガスに準じます。皮膚についたときは、できるだけ早く、長時間(2~24時間)水洗いする必要があります。ガスを吸収したときは、アンモニアを嗅がせ、必要があれば人口呼吸、酸素吸入を行います。ただし、酸素吸入は熟練者が行わないと危険です。
一酸化炭素ガス 新鮮な空気のところに移し、安静と保温がとくに大切です。この中毒は、意識のある中に手足がきかなくなるため、救助者も注意しなければ危険です。普通の防毒マスクは無効で、ボブカライト(マンガン?銅及び銀などの酸化物を混合したもの)の防毒用マスクを用いなければなりません。
二酸化イオウ 酸化窒素 粘膜の刺激性が強いので十分水洗し、うがいには1~3%炭酸水素ナトリウム液が適しています。数時間後に肺水腫を起すおそれがあるので、24時間は安静にし、人工呼吸は行ないません。重症中毒のときは、足を高くし、脳血行をよくするように心掛けます。
シアン化水素 意識不明の罹災者を寝かせ、口をあけて舌を引き出します。亜硫酸アルミのアンプルをハンカチに包んで破り、そのまま鼻口に嗅がせます。これを1分間に15~30秒づつ繰り返し、医師を呼びます。薬品の附着した衣服は、直ちにふきとっておかなければなりません。
硫化水素ガス 新鮮な空気中に移し、安静と保温に注意し、必要あれば人工呼吸します。眼を刺激したときは暗い室で冷湿布し、頭部も水冷します。
フッ化水素 皮膚に着いたときは、一定時間後に災症を起すので注意が必要です。水冷した70%アルコール、又は飽和硫酸マグネシウム液に、30分間浸します。湿布する場合は、2分毎に布をとりかえ、30分間つづけます。
黄リン まず消火しなければなりません。皮膚についた場合は、すぐに水中につけて附着したリンをピンセットで取り除きます。次に、3%硫酸銅中に15分間浸せば銅塩となるため、これをピンセットで取り除きます。リンの燃焼した煙は、五酸化リンの微粉であるため、呼吸器を刺激するので注意しなければなりません。
金属ナトリウム まず附着したものをピンセットで除き、アルコールで洗った後、十分に水洗します。眼?粘膜のときは、アルコールを用いてはいけません。
アルデヒト類 ホルマリンを飲んだときは、ミルク又は3%酢酸アンモニウム水を飲ませて吐かせます。(この処理を3回繰り返します。)ガスを吸入した場合は、コーヒー、茶類を与え、アンモニア水を嗅がせます。皮膚、粘膜は、充分に水洗します。
フェノール 皮膚に附着したときは、衣服をとり、大量のセッケン水で洗います。50~70%アルコール水?20%グリセリン水溶液で洗えば一層効果的です。次に3%チオ硫酸ナトリウムで湿布し、24時間は軟膏類を用いないようにします。眼に入ったときは、長時間水洗いしてください。
ジメチル硫酸 吸入した場合は、数時間後に肺水腫を起すおそれがあるため、安静と酸素吸入をします。取扱いは特に注意し、これを使用したときは、必ずアルコールセッケンで手を洗わなければなりません。ジメチル硫酸による皮膚の火傷は、徐々に進行し、治り難いので注意が必要です。氷水で持続的に冷やしておくのが最もよく、特効的な薬剤はありません。