学生のための薬草園を目指して
大学設置基準第8章39条により,薬学に関する中国福彩网又は学科は薬用植物園(薬草園)を附属施設として置くことになっていることからも,薬剤師に薬用植物の知識が期待されていることが伺える.また,薬学教育モデル?コアカリキュラム(日本薬学会)C7自然が生み出す薬物の履修に関しても薬用植物園の存在は不可欠といえる.岐阜薬科大学では学舎から約4km離れたところに薬草園が設置されているため,頻繁に講義時間中に活用することは困難となっている.そこで,時間外や休日を利用して学生が薬草園を数回訪れるように誘導
するために,私が担当する薬用植物学(1回生前期科目)では,1)薬草園で4月,5月,6月,7月に開花している薬用植物を調べてリストを作成する.2)その花を摘んで花の拡大図および各部位(雄ズイ,雌ズイ,花弁,ガク片など)をスケッチに記録する.3)薬草園でガイドボランティアとして活動している数名の方から,それぞれ薬草の説明や活動について伺いレポートとしてまとめる.の課題をだしている.開花の調査や植物をスケッチすることで観察する目を養い,写真では得られない情報を,書いて表現することで理解し,記憶することを期待して課題1),2)を出している.実施後のアンケートでは,深く印象に残ったなどの回答があり,こちらの思いが届いていることが実感できる結果となった.予想以上に興味深かったのは,3)の課題に対する感想で『知らない人とのコミュニケーションのとり方を,自らが体験することで練習しているともいえる.』との回答だった.確かに,ガイドボランティアの年齢層は幅があり,核家族化が進む中,高齢者と接する機会の少ない学生にとっては,将来,薬剤師として応対するだろう高齢者の方と話す絶好の機会だったのかもしれないとアンケートを見ながら思いを巡らせてみた.薬草園は色々な方が集う場所であり,薬草をはさんで会話のできる場所であり,コミュニケーションの実地練習の場としてはうってつけであると考えられる.今後も自信を持って3つの課題を1年生に課していきたいと考えている.
更に生薬学(2回生前期科目)では,生薬の匂い,味,触覚などを教科書に補足し,強く薬用植物を印象づけ,学習効果を上げること,生薬に加工される前の植物を理解することを目的とした薬草園見学の時間を設けている.